障害や病気などで安定して就労することが難しくなった場合、就労継続支援B型を利用していくのは選択肢の1つです。
しかし、就労継続支援B型の利用が初めての方にとっては、様々な不安がつきものです。
その中でも、お金に関しての不安もそこに含まれていると思います。
工賃って何?
給料とは違うの?
工賃の決め方ってどうなってるの?
いくらくらい貰えるの?
ここでは、就労継続支援B型の利用者が生産活動で得た工賃について説明していきます。
就労継続支援B型の工賃とは?

なぜ、就労継続支援B型事業所では得られる賃金のことを給料ではなく工賃と呼ぶのでしょうか。
はじめに、給料とは、事業所を運営する法人と雇用契約を結び、入社した人がもらえるお金のことをさします。
一方で、就労継続支援B型事業所では、生産活動(お仕事)をおこなった利用者に対して支払う対価のことを工賃といいます。
就労継続支援B型では、事業者と利用者が雇用契約を結ばない為、給料ではなく、工賃というかたちで報酬が支払われます。
| 給料 | 工賃 |
| 雇用契約あり | 雇用契約なし |
| 最低賃金が保証 | 最低賃金以下がほとんど |
雇用契約を結ばない就労継続支援B型では、『労働基準法』や『最低賃金法』などの法令が適用されていない事情があります。
そのため、給料は最低賃金が保証されているのに対して、工賃は最低賃金が保証されていないという違いがあり、一般的には工賃は給料よりも安いという点があります。
また、雇用契約を結んでいないため、工賃は給与所得の対象にあたらず、雑所得として扱われるため、工賃は源泉徴収の対象外となっています。
本来、源泉徴収対象外の収入については、自分で確定申告を行い税金を支払う義務があります。
ですが、収入が工賃のみで、年103万円以下の場合は確定申告が不要とされており、手間がかからない点もメリットと言えます。
工賃の決め方について、次の項目で触れていきたいと思います。
就労継続支援B型の工賃の決め方は?
就労継続支援B型では、生産活動の売上から経費を引いた額を工賃として利用者に支払います。
工賃の決め方としては、
工賃=生産活動収入-経費
このような計算方法等で工賃額は決められております。
また、工賃形態は『時給』、『日給』、『月給』、『出来高』があります。
- 働いた時間に応じて工賃が貰える『時給』
- 1日あたりの働く時間が決まっている『日給』
- 働いた時間に関わらず一定の金額が貰える『日給』
- 勤務日数や勤務時間に関わらず一定の金額が貰える『月給』
- 実際に行った作業量に対して工賃が貰える『出来高』
工賃形態は作業内容ごとに変えたり、複数を組み合わせても問題ありません。
事業所ごとによって違うことがあるので、事前に確認を行っておくとよいでしょう。
生産活動収入の例としては、以下のような作業があります。
- お菓子製造
- 食品製造
- 清掃作業
- 箱折り作業
- クリーニング など
経費の例としては、以下のようなものがあります。
- 食品製造での材料費
- 清掃に使う道具
- 内職等で使う備品 など
このように、工賃は作業の売上や、作業内容によって変動することもあるため、事業所ごとや利用者によって変わってきます。各自治体に事前に相談、確認を行っておくといいでしょう。
工賃の平均額は?
次に気になる事としては、いくらぐらい工賃を貰っているのか気になってくると思います。
参考として、全国には多くの就労継続支援B型の事業所があり、令和4年度の全国の平均工賃は、17,031円でした。
| 令和4年度平均工賃(月額) | 令和4年度平均工賃(時給) |
| 17,031円 | 243円 |
そして、岩手県の令和4年度の平均工賃は、19,949円で、大船渡市がある、気仙地区の令和4年度の平均工賃は、24,717円となっております。
工賃については事業所ごとにバラつきがあるほか、同じ事業所の中でも、作業内容などによって差が出る場合もあります。
また、就労継続支援B型では、利用者の体調を優先して、出勤日数や勤務時間の調整をしている方も多く、貰える工賃の金額は人によって変わってきます。
加えて、就労継続支援B型の事業所指定を受けるには、事業所全体の平均工賃月額を3,000円より下回ってはいけないという法律があります。
計算方法が改定されたことにより、従来では、利用日数が少ない利用者を多く抱える事業所ほど、平均工賃月額が低くなるという問題点の改善をすることが出来ています。
新しい平均工賃月額の決め方は以下のとおりになります。
- 前年度の工賃支払総額を算出
- 前年度の開所日1日あたりの平均利用者数を算出(前年度の延べ利用者数÷前年度の年間開所日数)
- 前年度における工賃支払総額÷前年度における開所日1日あたりの平均利用者数÷12月により、1人あたりの平均工賃月額を算出
その中でも、出来る限り工賃を多く得たいと考える人もいると思います。
そこで、工賃を上げるポイントについて説明していきたいと思います。
就労継続支援B型で工賃を上げるには?
就労継続支援B型で工賃を上げるには、次のようなものがあげられます。
- 仕事内容を確認する
- 働く時間や日数を増やす …など
仕事内容が高度なものほど、工賃が高くなる傾向になります。
参考になりますが、生産活動内容別の平均工賃額は以下の通りになっております。(令和3年9月)
| 生産活動内容 | 平均工賃月額 |
|---|---|
| クリーニング | 25,761円 |
| パン製造 | 14,509円 |
| 農業・園芸 | 14,025円 |
| 清掃・施設管理 | 13,638円 |
| 部品・機械組み立て | 13,043円 |
| 菓子製造 | 12,641円 |
あくまで1例ではありますが、工賃が気になっている場合は、事業所の仕事内容を確認し、自分に合った仕事を探してみてもよいかもしれません。
また、働く時間や日数を増やすことで、受け取れる工賃を増やすこともできます。
時給制や日給制の事業所の場合は、時給制であれば作業時間を増やすことで、日給制であれば通所日数を増やすことで、工賃を上げることができます。
事業所によって、工賃形態も変わってくるので、事業所に確認、相談をしてみましょう。
以下では、事業所が工賃を決める際に、1つの判断材料ともなっている能力給について、説明していきます。
能力給ってなに?
一般的に能力給とは、労働に対する能力に応じて支払われる賃金のことを言います。
ただ、障害福祉では、「工賃に能力給を取り入れてはいけない」という考えをもっている方も一部います。
その理由として、厚生労働省が発行する通達に「技能に応じて工賃に差別を設けてはならない」という旨があるためです。
しかし、現在では一般的に、成果物などの数量に応じた「出来高制」や「作業内容ごとに工賃に差をつける」などは問題ないとされ、そういったものを能力給として扱っています。
また、評価表による能力給に関してですが、一部取り入れているB型事業所もありますが、導入する際は、各自治体に確認を取ることがすすめられています。
能力給の内訳例
- 作業意欲
- 作業内容
- 持続力、集中力 など
ただ、工賃を多く得ようと無理をして休みがちにならないように、職員が利用者ごとにあった作業内容を利用者と共に相談していくようにしていきましょう。
安定的に高い工賃をもらうためにも、安定して通所をしていけるように、体調に無理をしないように働いていける事業所を選んでいく事が大事なポイントとなっています。
利用者ごとに出来ること、出来ないことがあるなかで、できるだけ利用者全員が納得できる形で、作業や通所の意欲が上昇していけるように目指していきましょう。
就労継続支援B型の工賃 まとめ
就労継続支援B型事業所では雇用契約を結ばないため、支給される金額は、給料ではなく工賃という扱いになります。そのため、最低賃金が設定されている一般就労やA型事業所と比べると、金額は低くなっています。
しかし、雇用契約を結んでいないため、自分の体調や状態に応じて、自分に合わせて働ける日数や時間を決めることが出来、比較的自分のペースで働いて行けるのがメリットと言えます。
また、工賃に関しては、平均工賃月額の計算方法も見直されるなか、利用者が貰える工賃も年々少しずつでありますが、増加傾向にあります。(参考に気仙地区の令和4年度の平均工賃は24,000円、令和5年度は31,000円)
(参照 令和4年度岩手県内の障害者就労支援事業所における工賃の支払状況)
(参照 令和5年度岩手県内の障害者就労支援事業所における工賃の支払状況)
多くの利用者が作業内容、作業日数、作業時間に応じて工賃を得ています。
少しでも工賃を得たいと考えている場合は、事前に見学や体験等を通じて話を聞き、自分が働いていける事業所であるか確認していきましょう。
- 就労継続支援B型では、利用者が受け取るお金の事を工賃と言います。雇用契約を結ばないため、最低賃金などは保証されていません。
- 工賃の形態として、時給、日給、月給、出来高の工賃形態があります。
- 令和4年度の全国の平均工賃は17,031円で、岩手県では19,949円、大船渡市がある気仙地区では24,717円となっています。
- 工賃を上げるには、通所日数や作業時間を増やすことや、仕事内容を確認し、自分に無理なく安定して通所出来ることが大事とされています。
- 作業量や作業内容に応じた能力給はOK、評価表を導入した能力給は自治体へ確認をおこなってください。


